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5 minutes妄想シチュエーション♡

第3章 定時上がりを妨害する上司・先輩→後輩

(パワハラじゃないですか、って、君はほんのり紅潮してあたしを睨みつけてくる。あーあ、いつもの物腰は作り物ってわけですか。それともそこまで恋人が大事?)


(周囲の社員達の目を気にしてか、どこか落ち着かない君の態度をスルーして、あたしは腰を上げた。君の後方に足を止めて、まるい肩に腕を回してみる。

白いうなじにくらくらする。なんだ、西日よりこっちの方が眩しいじゃん)


 ……こんな風に?



 こんな風にギュってして、


 ……愛してる。


(耳朶に息が触れるほどの距離で、あたしは君に近づいた。チェリーバニラの香りが憎い。いっそ、この香りの中に溶かし込んでよ。あたしを)


 言ったら、君は誰でも信じるの?



 嘘。


 先にこうしたのがあたしだったら、君は今頃、そいつと約束なんてしてなかっただろ。


(「もしかしてからかってるんですか」「ドッキリですか」、って、君は抱擁の中でもがく。普段は、結構、仲の良い後輩だしね……さすがにあたしを振り払って出て行くような、ドラマみたいな展開はないか)


(君って、こんな抱き締め心地だったんだ。……想像なんて当てにならないな。諦められなくなっちゃうじゃん)


(あたしは君を解放して、悪びれもない口調を繕う。ごめんね。からかいすぎた)


 そうだね。デートの約束をしている社員に残業を強いるほど、ウチは人手に困っていない。


 化粧、今朝と変わってたから。綺麗で、つい意地悪しちゃった。よくある女の嫉妬だと思ってよ。こんな綺麗な顔をジーッと眺められるどこの誰だか知らないヤツが羨ましくて、一秒でも君を引きとめて、ちょっと見ていたかったんだ。


 恋人じゃなくちゃ、こういうこと言っちゃダメ?


 言われるくらい、タダだし良いじゃん。
 気まぐれな上司にちょっかいかけられたってくらいに受け止めておきな。



 じゃ、お疲れ。

 困った顔も可愛いけど、恋人には笑顔を見せてやりな。


 行ってらっしゃい。気をつけて。







《end》

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