
❇️片暉の残照❇️
第19章 赤と青の欲望
コーテルが晩餐会でのダンスを思い浮かべていると、コンコンと公務室の扉をノックする音が聞こえた。
「お、噂をすれば…かな?」
お茶の準備をしていたメルトが扉を開けると、そこには――――…新緑色のワンピースと眼帯を着けたテイスが立っていた。
「お兄様!おやつ一緒に食べませんか?」
テイスの手にはおやつが入っているのか小さめの籠が見えた。
「丁度、俺たちも休憩に入るところだったんだ――――入って!」
「はい、ありがとうございます」
テイスは丁寧にお辞儀をすると、扉を開けてくれる兄のメルトと柔らかな視線交換をしていた。
「///いいなぁ…」
「ん?コーテル何か言ったか?」
「///いっ、言ってません!」
囁きに気がついたものの聞き取れなかったロミはコーテルにもう一度言ってほしいと願うが――――…
何故か、顔を赤くしてムキなりながら否定をする。
コーテルのその表情と態度は、可愛いが男のプライドを見え隠れさせているようだった。
