
❇️片暉の残照❇️
第19章 赤と青の欲望
「あっ、そろそろテイスが来る時間だね――――…」
“テイス”と言う名にドキンとコーテルの胸の鐘が鳴る…。
「ハジロ公爵令嬢が…来るのですか?」
コーテルは手にしていたマシュマロの容器をキュッと抱き締める。
「あぁ、今日は王宮でダンスのレッスンみたいでな、終わったら寄ると言ってた」
お茶の準備をしながら、メルトが妹の予定を嬉しそうに話す姿に――――…
自分はネールの予定を…そんな風に楽しそうに話すことは無いな…と、自分の事を見下すように笑う実妹を思い出す。
「ダンスのレッスン…ですか?上手に出来ていましたよ?」
「ハハハ!晩餐会でのお前たちのダンスは上手だったからな」
「一曲、二曲ならそれなりに踊れますが――――…テイスは体力が無さすぎるんです!すぐに疲れて、フォームが崩れてしまう…体力作りも兼ねてのレッスンです!」
「はあ…なるほど…」
コーテルは確かに、彼女には筋肉も脂肪も無かったことを思い出す…ついでに、胸も無かった…と、余計なことを思いだし顔を赤くした!
しかし、あの会場では誰よりも美しく可憐だった。
