
❇️片暉の残照❇️
第12章 お茶会と緊張の挨拶
私はあの時の事を思いだし…恐怖がよみがえったが――――…
ギュッと強く腕を組まれハッと我に返る…。
と、目線をあげると――――…サンドラ様の長い髪を結わえていたリボンが揺れて視界に入ってきた!
それは、先日――――私がサンドラ様にドレスのお礼にと渡した…青い刺繍のリボン――――。
あれは…いつでも凛とした姿で堂々とし強いサンドラ様をイメージして縫ったものだ…
ダメだ――――ここでビクビクしていても!
私はサンドラ様とお兄様に背で庇われていたが、二人に間に進み出で――――…
「テイス・ハジロと申します――――…よろしくお願いいたします」
と、習った時よりも美しく威厳があるように真っ直ぐインギル様を見つめ令嬢の挨拶をした!
「――――そ、そんな…そんな…///その…髪で…公爵…令嬢で――――…ロミ様の元へ…サンドラ様と一緒に挨拶に向かうとか……そんな…そんな――――」
青ざめた顔でよろめくインギル様を後ろにいた沢山の従者が支える――――が、怒りが勝っていたのか…インギル様は従者に「触るな!」と、癇癪をお越し扇子で差し伸べられた手を叩いていく!
