
❇️片暉の残照❇️
第12章 お茶会と緊張の挨拶
一瞬何が起こったか分からない私は、振り回される人形のごとくガッチリ…サンドラ様にキープされ唖然としていた。
と、その私を見て――――…サンドラ様の表情がどんどん赤くなっていく!
「こ――――…この娘は…研究所の…平民?なぜ――――…ここへ?ここは…王宮の…高位貴族の…茶会……しかも――――黄金色髪を短く…したにも関わらず……人前に立つとは……王族への侮辱でしかない…」
私の顔を見たインギル様は怒りで顔を真っ赤にしながら震え絞るような声で…私を睨み付け囁く。
「え――――短髪は…///あっ…侮辱…なのですか?」
私はさっきコーテル様に短髪は“未亡人”と言うことを知ったばかりで…“王族への侮辱”だと言うことも知らなかった!
「は?――――侮辱…って初めて聞いたぞ!それに――――コイツは平民じゃない…、ハジロ公爵の娘でテイス・ハジロだ。無礼だぞ――――」
「は――――?ハジロ…公爵…の娘?」
すると、怒りに震えるインギル様の目が、私をかばおうとしていたお兄様へと向けられる。
「ハジロ公爵様には、ご子息メルト様だけだと……」
疑いの目で私を見つめるインギル様の怒りは更なる段階に入り…今にも私を殴りそうなほど強く拳を握っていた!
そこへ、スッと間に入ったお兄様がインギル様へ深々と頭を下げる。
「ごきげんよう、インギル様――――テイスは私の妹でございます。テイスの両親が他界し…昨年度、我が家に迎え入れましま。先日成人いたしましたので、今宵が社交界デビューでございます」
お兄様は怒りで震えるインギル様に私を紹介すると――――サンドラ様同様、無表情でインギル様を見つめる。
「――――成人…したばかりで無礼があるかとは思いますが…我が妹テイスの短髪の件は――――不慮の事故での散髪となりましたゆえ、落ち度は何一つないかと思います…決して“無礼”などではございません」
更に、髪の短さを“無礼”ではないと重ねると――――インギル様の表情が一気に青ざめた!
「――――不慮の…事故…」
