
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「さよう。大軍であればあるほど、食糧も大量に必要となりましょう。その場合、食糧は戦闘部隊とは別に運ぶのが戦いにおける定跡というもの。その食糧がある場所にも見当がつきましたぞ」
「どこに食糧が?」
「おそらく、ここでしょうな」
ゲンはふたたび扇の先で地図を指し示しました。その場所は、街から北にある場所でした。
街の北に押し寄せている敵を突き抜けて、さらに行った場所です。
「そこは――昔使われていた砦だな」
ピスティには覚えがありました。幼い頃に、街の子供たちを引き連れて、幽霊退治に出掛けたことがあります。古ぼけたレンガ造りの建物で、人は一人もいません。今は使われていないので人がいないのは当然ですが、雨や風は防げるので、食糧を溜め込むにはうってつけの場所と言えるでしょう。
「なんでそこに食糧があるってわかっただ?」
ライが訊きました。
「さっき、敵の中から煙があがってのう」
「煙だか」
「さよう。あれはおそらく、飯の準備をした際にあがった煙じゃろうな。その前に、多くの兵士が、あの砦へ向かって行って、戻ってきたのを見たんじゃよ」
「なるほど、それなら納得できるだよ!」
ライは鼻から息を吹きました。
「つまり、敵の弱点を二つ見つけたことになりますな。ひとつは本陣。もうひとつは食糧置き場」
「ゲンは、すでに作戦が浮かんでいるんだね」
ピスティが尋ねると、ゲンは深く頷きました。
「その通りですじゃ。その名も――」
釜底抽薪――とゲンは言いました。
「フテーチューシン?」
ピスティとライは、お互いに顔を見合わせました。
「どこに食糧が?」
「おそらく、ここでしょうな」
ゲンはふたたび扇の先で地図を指し示しました。その場所は、街から北にある場所でした。
街の北に押し寄せている敵を突き抜けて、さらに行った場所です。
「そこは――昔使われていた砦だな」
ピスティには覚えがありました。幼い頃に、街の子供たちを引き連れて、幽霊退治に出掛けたことがあります。古ぼけたレンガ造りの建物で、人は一人もいません。今は使われていないので人がいないのは当然ですが、雨や風は防げるので、食糧を溜め込むにはうってつけの場所と言えるでしょう。
「なんでそこに食糧があるってわかっただ?」
ライが訊きました。
「さっき、敵の中から煙があがってのう」
「煙だか」
「さよう。あれはおそらく、飯の準備をした際にあがった煙じゃろうな。その前に、多くの兵士が、あの砦へ向かって行って、戻ってきたのを見たんじゃよ」
「なるほど、それなら納得できるだよ!」
ライは鼻から息を吹きました。
「つまり、敵の弱点を二つ見つけたことになりますな。ひとつは本陣。もうひとつは食糧置き場」
「ゲンは、すでに作戦が浮かんでいるんだね」
ピスティが尋ねると、ゲンは深く頷きました。
「その通りですじゃ。その名も――」
釜底抽薪――とゲンは言いました。
「フテーチューシン?」
ピスティとライは、お互いに顔を見合わせました。
