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ここから始まる物語

第22章 最後の戦い

「かしこまりました」
 ゲン咳払いをすると、窓際から自分の席へ戻りました。
「敵の兵力に対して味方は少数。正面からぶつかってはまず勝ち目はございません。では、どうすればいいか」
 ピスティにとって、それは簡単な問題でした。
「敵の将軍を倒してしまえば、どんな大軍も逃げていく!」
 戦争ごっこで身につけた、戦いの知恵です。山賊と間違えてエカタバガン軍をやっつけたのも、その方法でした。
「さよう。ピスティさまはやはり冴えておられる」
 かかか、とゲンは笑います。
「しかし、敵の大将がどこにいるのかわからなければ、ピスティさまの作戦もできませぬ。しかし、たった今、敵の本陣がどこに置かれているのか、わかったのです」
「どうして?」
 ピスティは身を乗り出しました。この部屋にいるだけなのに、どうしてわかるのでしょうか。
「敵は城壁を前にして動かずにいます。しかし、動き続けているものがあるのでず。それがなんだか、お分かりですかな」
「動き続けるもの?」
 ライは首をひねっています。しかし、ピスティには思い当たるものがありました。それも、やっぱり戦争ごっこから身につけた知恵です。
「もしかして――」
 伝令か――とピスティは言いました。
「その通りでございます」
 ゲンは手に持っている扇、ぴしりと閉じました。

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