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ここから始まる物語

第22章 最後の戦い

 レナがあたりを見渡すと、みんながほがらかに笑っています。
「なにがおかしいのよ」
 口を尖らせると、ぽんと肩に手を置かれました。
 手を置いたのは、それまで話していた巨漢でした。
「レナさま。ありがとうとうございます。そのお気持ちが、庶民の我々にとってどれほどありがたいことか」
 見れば、市民の中にも武装した男たちが何人も混じっています。
「俺たちも、義勇軍として立ち上がろうとしていたところだったんです」
 武装した男の一人が言いました。それに応じるかのように、また別の男が言いました。
「ちょうどいい。俺たち義勇軍の象徴(しるし)として、レナさまに先頭に立ってもらおう」
「それはいい考えだ」
「レナさまが率いているとなれば、向こうも驚くだろう」
 次々と声があがり、やがて拍手が巻き起こりました。
「レナさま。お願い致します。レナさまは、俺たちがきっちりと守ります。だから、士気高揚のためにも、どうかご出陣を願います」
 巨漢は、恭しくその場に膝をつきました。
「わ、わかったわ」
 反対されるとばかり思っていたレナは、思いもよらない流れに、一瞬戸惑ってしまいました。しかしすぐに気を持ち直して、ふたたび剣をふりかざしました。
「すべては正義と幸福と自由のために!」
 おおッ――という声がレナの宣言にこたえました。
 みんなの声は、次第に大きくなっていき、いつまでもいつまでも響きつづけました。

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