
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「そうよ。でも私は戦うわ! 女だからといって、妃だからといって戦場に出ないなんてことは、私にはできない!」
レナは、戦場へ出ることをピスティに反対されたことを思い出していました。ここでも同じことを言われるのではないかと思ったレナは、先手を打ったのでした。ところが、巨漢は、まったく違うことを指摘したのです。
「レナさまの心意気は、俺たち市民にとってはとても嬉しいことです。でも、その、大丈夫なのでしょうか」
「女だからって馬鹿にしないで!」
「そうじゃなくて、その――」
言葉を濁しつつ、巨漢は人差し指をレナに向けました。
「鎧も、兜も、お身体に合っていないようですが」
「これは・・・・・・」
否定できませんでした。
レナが身につけている鎧も兜も、大きすぎてぶかぶかなのです。
「これは、仕方なかったのよ。私に合わせて鎧を作ってもらう暇なんてなかったから、兵舎に行って、空いているのを借りてきたの」
レナは華奢なので、いちばん小さい防具を選んだのですが、それでも大きすぎたのです。
「しかし、さすがにそれではうまく戦えないんじゃないかと思うのですが・・・・・・」
「いいのよ」
「いや、良くないです」
「大丈夫」
「どこからその自信が・・・・・・」
「私は――」
私は刃物では殺せないのよ――と言おうとして、レナは口をつぐみました。さすがに信じてはもらえないと思ったからです。一人や二人に信じてもらうことはできても、ここにいる大勢に信じてもらうことは、たやすいことではありません。それを見越して、レナは合わないながらも鎧を身につけてきたのです。
「私は、この鎧が気に入っているの!」
「気に入るとか、そういう問題ではなく・・・・・・」
「いいの!」
「しかし・・・・・・」
「今日はこれで行くわ!」
「ですが・・・・・・」
言い争っているうちに、周りにいる者たちが、かすかに笑い始めました。
ふふふ。
くすくすくす。
はじめは含み笑いでしたが、やがてその声は大笑いとなって、その場の雰囲気がなごみました。
「なによ!」
レナは、戦場へ出ることをピスティに反対されたことを思い出していました。ここでも同じことを言われるのではないかと思ったレナは、先手を打ったのでした。ところが、巨漢は、まったく違うことを指摘したのです。
「レナさまの心意気は、俺たち市民にとってはとても嬉しいことです。でも、その、大丈夫なのでしょうか」
「女だからって馬鹿にしないで!」
「そうじゃなくて、その――」
言葉を濁しつつ、巨漢は人差し指をレナに向けました。
「鎧も、兜も、お身体に合っていないようですが」
「これは・・・・・・」
否定できませんでした。
レナが身につけている鎧も兜も、大きすぎてぶかぶかなのです。
「これは、仕方なかったのよ。私に合わせて鎧を作ってもらう暇なんてなかったから、兵舎に行って、空いているのを借りてきたの」
レナは華奢なので、いちばん小さい防具を選んだのですが、それでも大きすぎたのです。
「しかし、さすがにそれではうまく戦えないんじゃないかと思うのですが・・・・・・」
「いいのよ」
「いや、良くないです」
「大丈夫」
「どこからその自信が・・・・・・」
「私は――」
私は刃物では殺せないのよ――と言おうとして、レナは口をつぐみました。さすがに信じてはもらえないと思ったからです。一人や二人に信じてもらうことはできても、ここにいる大勢に信じてもらうことは、たやすいことではありません。それを見越して、レナは合わないながらも鎧を身につけてきたのです。
「私は、この鎧が気に入っているの!」
「気に入るとか、そういう問題ではなく・・・・・・」
「いいの!」
「しかし・・・・・・」
「今日はこれで行くわ!」
「ですが・・・・・・」
言い争っているうちに、周りにいる者たちが、かすかに笑い始めました。
ふふふ。
くすくすくす。
はじめは含み笑いでしたが、やがてその声は大笑いとなって、その場の雰囲気がなごみました。
「なによ!」
