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ここから始まる物語

第22章 最後の戦い

「わかった、いいだろう。しばらくここにいるといい」
「かくまってくださるのですか」
「まあ――」
 アビナモスは、横目にフォビスを見ました。どんな意味の視線かは、聞かなくてもわかります。フォビスは、ただ頷いて見せました。フォビスも、同じ気持ちだったのです。
「しかし、今は戦いの最中だ。このテントの中で大人しくしていてもらおう。敵の国から来た人間に勝手に動き回られては困るからな」
「かしこまりました。ありがとうございます」
 女はようやく体勢を立て直すと、その場に座りこんで、深く頭をさげました。
「名前は、なんというのだ」
 アビナモスが訊くと、女はか細い声で答えました。

「コーリー、と申します」

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