
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
それも仕方のないことでしょう。
ピスティはがっかりしたというよりは、やっぱりなと思いました。ところが、
「しかし、まったく手がない、というわけではありませぬ」
と、苦い薬でも飲んだかのような顔で言ったのでした。
「というと、何か試してみる価値のあるものがあるだか」
ライが、丸くて大きな顔を、ぐいっと前へ突き出しました。
「そうよのう」
ゲンは、不思議な形の扇を指先で弄んでいます。紙と木ででき扇で、開いたり閉じたりできる、不思議な造りの扇です。その扇を、ゲンは指先で細かく開閉させていたのですが、急にぱちりと音を立てて扇を閉じたかと思うと、
「まずは現状をあらためて説明いたしましょう。さきほど――」
その扇の先で、机の上にある地図の一部を指し示しました。
「――門が攻撃を受けましたな」
指し示したのは、まさしく門の部分でした。
「でも、破られてはいない」
もんを頑丈に造り変えた甲斐があったというものです。
「そうだよう。ピスティさまの言う通りだ。門が破られなかったんだから、胸はって、ざまあみろって思ってりゃいいだ」
その言葉通り、ライは椅子の背もたれに反り返っています。
「いや、僕はむしろ心配しているんだ」
「心配だあ? 何を心配することがあるだよ」
「敵は、すでに門を攻撃することを諦めている。そして、今のところ、まったく動いてない。敵は今、たぶん考えてるんだ、どうやって城下街を攻めるかを」
「ピスティさまのおっしゃる通りでございましょうな。――ライよ」
ピスティはがっかりしたというよりは、やっぱりなと思いました。ところが、
「しかし、まったく手がない、というわけではありませぬ」
と、苦い薬でも飲んだかのような顔で言ったのでした。
「というと、何か試してみる価値のあるものがあるだか」
ライが、丸くて大きな顔を、ぐいっと前へ突き出しました。
「そうよのう」
ゲンは、不思議な形の扇を指先で弄んでいます。紙と木ででき扇で、開いたり閉じたりできる、不思議な造りの扇です。その扇を、ゲンは指先で細かく開閉させていたのですが、急にぱちりと音を立てて扇を閉じたかと思うと、
「まずは現状をあらためて説明いたしましょう。さきほど――」
その扇の先で、机の上にある地図の一部を指し示しました。
「――門が攻撃を受けましたな」
指し示したのは、まさしく門の部分でした。
「でも、破られてはいない」
もんを頑丈に造り変えた甲斐があったというものです。
「そうだよう。ピスティさまの言う通りだ。門が破られなかったんだから、胸はって、ざまあみろって思ってりゃいいだ」
その言葉通り、ライは椅子の背もたれに反り返っています。
「いや、僕はむしろ心配しているんだ」
「心配だあ? 何を心配することがあるだよ」
「敵は、すでに門を攻撃することを諦めている。そして、今のところ、まったく動いてない。敵は今、たぶん考えてるんだ、どうやって城下街を攻めるかを」
「ピスティさまのおっしゃる通りでございましょうな。――ライよ」
