テキストサイズ

ここから始まる物語

第22章 最後の戦い

【作戦開始】
~アウィーコート陣営~

 ピスティは城のてっぺんの部屋に作戦本部を置いていました。
 ここから外を眺めれば、敵の動きがよく見えます。それに高い場所なので、奇襲を受けるような心配もありません。
 部屋の中にいるのは、おもに四人。
 ピスティと、ライとフウとゲン。
 いつもの仲間たちです。
 それと、作戦参謀が三人ついていますが、普段はあまり口を効かないので、こちらから質問でもしない限り、喋らないでしょう。別に仲が悪かったり、ピスティが怒ったりするようなことはないのですが・・・・・・。
 本当はここにレナにもいてほしかったのですが、自分だけ安全な場所にはいられないと言って飛び出していったきり、まだ戻ってきていません。
 追いかけたいのはやまやまなのですが、王として決断と命令をしなくてはならないので、ピスティはレナへの気持ちをおさえてここにいます。
「四面楚歌」
 外を眺めていたフウが、そう言って席につきました。
 言われなくてもわかっています。エカタバガン帝国は軍事大国。本気を出せば、アウィーコート王国などひとひねりでしょう。
 ピスティは机の上に両肘をつき、髪をぐしゃぐしゃとかきむしりました。
「どうするべきだろう」
 こんな時に頼りになるは、参謀とゲンです。が、圧倒的な力の差の前に、参謀たちはやっぱり何も言いません。
「ゲン、いい方法はないかな」
 ピスティは老いた友に尋ねました。昔、東の国では軍師を務めていたというゲンならば、何かいい考えを出してくれるのではないかと、ピスティは期待したのです。しかし、
「今回ばかりは、この老いぼれめも頭を悩ましているところでございます」
 と頼りない返事をするばかりでした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ