
ここから始まる物語
第11章 幸せの終わり、不幸の始まり。
レナがぼうっとしていると、
「あなたは?」
と訊かれました。我にかえって、レナは自分の名前を名乗りました。
「レナさん、ですか。私はコーリーといいます」
「コーリーさん? いきなりで悪いんだけど、あなた、王さまから手紙を受け取ったわよね」
「え? 手紙・・・・・・ですか」
コーリーは、不安げに、頬に手を当てました。動きも表情もおっとりした感じです。それがもどかしくて、レナはつい怒鳴りつけてしまいました。
「とぼけないで! あなた、さっきお城の前にいたでしょ! 王さまと話しているところを、私は見たんですから!」
「う、受け取りました。でも、これは――」
戸惑いながらも、コーリーは、その手紙を差し出します。レナは、それを奪い取りたい気持ちになりましたが、深呼吸をして気持ちを落ち着けました。
「ごめんなさい。乱暴な態度をとってしまって」
まずは謝って、それからレナは自分をおさえながら、コーリーに頼みました。
「その手紙の中身、見せてもらえないかしら」
「中身・・・・・・ですか? でも、これは私の大切な手紙。あまり人には見られたくないのですけど・・・・・・」
当然でしょう。見も知らない相手に手紙の内容を見られるなんて、嫌に決まっています。
「お願い。私は城の情報部から頼まれて来たの。もしかしたら、その手紙の内容次第では、国が滅びてしまうかもしれないの」
どうにかコーリーを説得しようと、レナはとっさに嘘をつきました。
「国が? そんな大事な手紙を、どうして王さまが私に・・・・・・」
「一般の人に渡しておけば、万が一狙われた場合でも、見つかることはなくなるでしょ」
言いながら、よくこんなでまかせを言えるものだと、レナは自分自身に呆れ果てていました。そして同時に、祈っていました。手紙の中身が、どうか恋文なんかではありませんように、と。
「あなたは?」
と訊かれました。我にかえって、レナは自分の名前を名乗りました。
「レナさん、ですか。私はコーリーといいます」
「コーリーさん? いきなりで悪いんだけど、あなた、王さまから手紙を受け取ったわよね」
「え? 手紙・・・・・・ですか」
コーリーは、不安げに、頬に手を当てました。動きも表情もおっとりした感じです。それがもどかしくて、レナはつい怒鳴りつけてしまいました。
「とぼけないで! あなた、さっきお城の前にいたでしょ! 王さまと話しているところを、私は見たんですから!」
「う、受け取りました。でも、これは――」
戸惑いながらも、コーリーは、その手紙を差し出します。レナは、それを奪い取りたい気持ちになりましたが、深呼吸をして気持ちを落ち着けました。
「ごめんなさい。乱暴な態度をとってしまって」
まずは謝って、それからレナは自分をおさえながら、コーリーに頼みました。
「その手紙の中身、見せてもらえないかしら」
「中身・・・・・・ですか? でも、これは私の大切な手紙。あまり人には見られたくないのですけど・・・・・・」
当然でしょう。見も知らない相手に手紙の内容を見られるなんて、嫌に決まっています。
「お願い。私は城の情報部から頼まれて来たの。もしかしたら、その手紙の内容次第では、国が滅びてしまうかもしれないの」
どうにかコーリーを説得しようと、レナはとっさに嘘をつきました。
「国が? そんな大事な手紙を、どうして王さまが私に・・・・・・」
「一般の人に渡しておけば、万が一狙われた場合でも、見つかることはなくなるでしょ」
言いながら、よくこんなでまかせを言えるものだと、レナは自分自身に呆れ果てていました。そして同時に、祈っていました。手紙の中身が、どうか恋文なんかではありませんように、と。
