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ここから始まる物語

第11章 幸せの終わり、不幸の始まり。

「そういうことだったのですね。それでは、あまり気は進みませんが、ご覧ください」
 コーリーは、それでも嫌がるように、もじもじしながら、手にした封筒をレナに渡しました。
 レナはそれを受け取ります。
 いつの間にか呼吸が浅く、早くなっています。レナはもう一度深呼吸をして、気持ちを落ち着かせました。
 そして、封筒が破れないように、そっと糊を剥がしました。
 いよいよ中身です。
 レナは、封筒の中身を取り出すと、開いてその内容を読みました。

――――――――
愛しのコーリーへ

 今夜もあなたとお待ちしています。
 いつもの場所で、今日こそは私の想いをお聞きください

  あなたのピスティより
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 紛れもなく恋文です。ピスティが告げたい「想い」が何なのかは、確かめなくてもわかります。
 レナは目眩を覚えました。
 ――まさか本当にこの人へ想いを寄せていたなんて。
 ピスティの鼻を明かすために、この手紙が恋文であることを突き止めたのに、いざ突き止めてみると、ぜんぜん嬉しくないのが不思議です。嬉しくないどころか、怒りと悲しみがこみ上げてくるではありませんか。
「ありがとう」
 レナは手紙を返すと、ぐらつく頭を抑えながら城へ戻ったのでした。

 ※

 すでに夜は深まり、星明かりが闇を薄めるばかりとなっています。
 門番は心配してレナに声をかけてくれましたが、レナは返事をすることもできませんでした。
 それから寝室へ向かったのですが、着替えることもできず、自分のベッドへ倒れ込んでしまいました。
 このまま眠ってしまおうと思ったのですが、不意に、部屋の扉を叩く音が聞こえてきました。
 無視するわけにもいかず、レナは、
「鍵はかかってないわ」
 と力なく言いました。

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