
ここから始まる物語
第11章 幸せの終わり、不幸の始まり。
「手紙なんか渡してない! 僕は、あの人が落とした手紙を拾ってあげたまでさ。どうして恋文なんて書くものか!」
「じゃあ、確かめてきていいのね?」
「好きにするといいよ!」
本当はもっと穏やかに話したいのに、ちゃんと話せば通じるはずなのに、ピスティはわかっていながらそれができない自分が、歯がゆくてなりませんでした。
「僕はまだ確認しないといけない書類があるから、じゃあね!」
ピスティは勢いよく顔を反らせると、早足で城の中へ引き上げていきました。後ろから、レナが何か声をかけてくれるのを密かに期待していたのですが、その期待はかないませんでした。
※
レナの怒りはまだおさまりませんでした。
せめてピスティが本当のことを話してくれていたなら怒るつもりもなかったのですが、嘘をつくばかりか、わからず屋呼ばわりしたのです。そうまで言われて我慢することなんて、レナにはできない相談でした。
あの手紙が恋文であることを突き止めて、ピスティの花を明かしてやろうと考えたのです。
ピスティは門から外へ出ると、さっきの女の人が去っていった方向へ走り出しました。
まだそう遠くへ入っていないはずです。
すでに太陽は沈み始めていて、あたりには薄闇が立ち込めています。
景色を見ることが難しくなっていましたが、走っているうちに、さっきの女の人と思える後ろ姿が見えてきました。
「待って!」
レナはその後ろ姿に向かって声をかけました。
相手は、びくっと背中を震わせると、ゆっくり振り返りました。
豊かな金髪と、大きな胸。そしてぽってりとした唇。遠目にはわかりませんでしたが、これほどの女性なら、たしかに大抵の男は参ってしまうかもしれません。同じ女であるレナでも、思わず見とれてしまうほどです。
「じゃあ、確かめてきていいのね?」
「好きにするといいよ!」
本当はもっと穏やかに話したいのに、ちゃんと話せば通じるはずなのに、ピスティはわかっていながらそれができない自分が、歯がゆくてなりませんでした。
「僕はまだ確認しないといけない書類があるから、じゃあね!」
ピスティは勢いよく顔を反らせると、早足で城の中へ引き上げていきました。後ろから、レナが何か声をかけてくれるのを密かに期待していたのですが、その期待はかないませんでした。
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レナの怒りはまだおさまりませんでした。
せめてピスティが本当のことを話してくれていたなら怒るつもりもなかったのですが、嘘をつくばかりか、わからず屋呼ばわりしたのです。そうまで言われて我慢することなんて、レナにはできない相談でした。
あの手紙が恋文であることを突き止めて、ピスティの花を明かしてやろうと考えたのです。
ピスティは門から外へ出ると、さっきの女の人が去っていった方向へ走り出しました。
まだそう遠くへ入っていないはずです。
すでに太陽は沈み始めていて、あたりには薄闇が立ち込めています。
景色を見ることが難しくなっていましたが、走っているうちに、さっきの女の人と思える後ろ姿が見えてきました。
「待って!」
レナはその後ろ姿に向かって声をかけました。
相手は、びくっと背中を震わせると、ゆっくり振り返りました。
豊かな金髪と、大きな胸。そしてぽってりとした唇。遠目にはわかりませんでしたが、これほどの女性なら、たしかに大抵の男は参ってしまうかもしれません。同じ女であるレナでも、思わず見とれてしまうほどです。
