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狼からの招待状

第4章 迷路 -MIROH-

「そう…」「ユノ先輩。悪いことばかり考えるのは良くない。先輩は明るい性格…」「グレ?」
 「オ…」エレベーターから降りた白い衣服の青年が、親しげに寄ってくる。
 「ユノ先輩、ちょっと失礼します」
グレが軽く頭を下げて、青年に歩み寄る。医学部の友人らしい。
 (…あ)遠くに見える窓の向こうに、淡い金髪にピンクのリボン、銀色のドレスにもピンクのリボン……嘲るような真っ青な瞳…イボンヌ……



 「ユノ先輩? どうかしたんですか」いつの間にかグレがそばに来ていた。
 曖昧にユノが頷くと「どうぞ」扉が開き、すすめられるまま、エレベーターに乗る。
 「先輩、顔いろが良くない」小さな顔を見て云う。「心配し過ぎは体に悪いです」エレベーターは地下へ降りる。壁に院内の案内図、検査室はB1とある。
 「…チャンミンさんの顔を見たら安心しますよ」「うん─」扉が開き、目の前に〔検査室〕の表示があった。



 「顔いろも良いし…検査が続くけど、予後は心配ないでしょう」ビーフシチューの匙を口に入れた。
 「そう…。それならいいけど」「くよくよしないで─食べてください」云われて、ドリアの皿にスプーンを入れた。

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