
狼からの招待状
第4章 迷路 -MIROH-
「それより、重要な…」 「失礼いたしました」侍従がソファに戻り、「ナースステーションからで…専門病院は何かと喧しいものです」「僕も研修中によく可愛いがられました」侍従が微笑する。
白いものが混じった髭が少し動き、眼鏡の奥の目が柔らかい…「グレさまはそうでございました、医学生でおられる…。─では申し上げます」 背筋を伸ばした侍従。ユノの頬がぴくっと痙攣する。
「チャンミンさんは頭に影があります。その原因はまだ不明です。それから、事故の後遺症がいくつか考えられるそうです」「具体的には?」「はい、まず最も重大なものは言語障害です。そして、脳の損傷による妄想などの精神異常。また、性機能も失われた可能性があります」訊ねたグレが瞳を侍従に当てた。闇の輝きの瞳…ユノは息を詰める。
「ユノさま」侍従は穏やかな口調で話しを続ける。冬のひだまりのような笑顔で──
「あくまで現時点での予測ですので…。まだお若いし、ご回復なさるでしょう」「それよりも頭の影が気になります」学徒らしい物言いのグレに、侍従が「検査結果を待つしかありませんが、確かなのは事故とは別問題。─ユノさま」
白いものが混じった髭が少し動き、眼鏡の奥の目が柔らかい…「グレさまはそうでございました、医学生でおられる…。─では申し上げます」 背筋を伸ばした侍従。ユノの頬がぴくっと痙攣する。
「チャンミンさんは頭に影があります。その原因はまだ不明です。それから、事故の後遺症がいくつか考えられるそうです」「具体的には?」「はい、まず最も重大なものは言語障害です。そして、脳の損傷による妄想などの精神異常。また、性機能も失われた可能性があります」訊ねたグレが瞳を侍従に当てた。闇の輝きの瞳…ユノは息を詰める。
「ユノさま」侍従は穏やかな口調で話しを続ける。冬のひだまりのような笑顔で──
「あくまで現時点での予測ですので…。まだお若いし、ご回復なさるでしょう」「それよりも頭の影が気になります」学徒らしい物言いのグレに、侍従が「検査結果を待つしかありませんが、確かなのは事故とは別問題。─ユノさま」
