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狼からの招待状

第3章 火影

 消した黒い画面を見る…(威圧される。凄い存在感の…怖い男優だ)─目を閉じたユノの頭の中の彼は、挑発する視線を向けてくる。
 (─要はアーティストだよ。世界市場向けの…)…事務所の本部長の低い声。(やんちゃだけど、海外バラエティで料理作って) 
 ユノの脳裏から、若い男優の顔が消えない。(余技でCDも出して、自由奔放な…)星を射る狩人のような、放たれた矢のような…(荒っぽいけど、傷つきやすそう)…躍動する暴れ馬のような身体…(すぐ目の縁を赤くして涙の、内気でなで肩で、丸い背中のチャンミンと全然違う…けど)
 ユノの耳に、(地球規模の俳優か歌手、グループを作る)また、本部長の声…(チャンミン。俺はどうしたら─)再び甦る、若い男優の荒野の薔薇のような横顔。…ユノは何故か、高揚を覚える。



 ……赤い汁碗を手渡される。「─美味しいですね」舌に辛味が広がり、マッコリが欲しくなる。
 「この店はじめて来たけど…、家庭料理の専門店みたいだ」「海鮮スンドゥブは、家でも作れるでしょ?」いたずらっ子の瞳が、ユノを見る。

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