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狼からの招待状

第3章 火影

 ─(世界が注目する俳優ですが、これからは?)〝野望を持って…、世界を征服する俳優に、なれたら…〟(素晴らしい夢です、親友の歌手の唄がドラマで流れました)〝彼は地球上を飛びまわる忙しい男です。僕のために作曲も詞も…友情に感謝です〟(ハリウッドのアクションスターと共演の話が)〝韓国映画のリメイクで、僕の役はトッコンムスル(特攻武術)……〟若々しい顔に誇らしげな表情が浮かぶ。
 …(使い捨てのアイドルは無用だ。本物志向でいく)…(ビック・ネームじゃなくスーパースターが欲しい)…(チャンミンのソロアルバム? 数字見ろ…)……──〝目標は70代でもパンチの打てる俳優─シルベスタ…スタローン〟─若鷹を思わす双眸を輝かす男優の顔の脇に、主演した映画のアクションシーンが流れる。
 ─夜の街を親友と駆け抜け─暴力の巣窟でリンチ─滑らかな若く艶やかな皮膚─光る汗─鉄のような拳─テンカオ─肩をいだき合う、親友─男どうし…笑顔を交わす───(俺にないもの。全部持ってる…彼) 
 ソファに座り込み、窓に目を転じた。朝の陽が 眩しかった。(まだ若い。強烈な個性の…顔、ファイティンスピリット。自分のスタイル持って…、自分だけの世界を─)

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