
狼からの招待状
第3章 火影
フライの首元にもスカーフ…こちらは淡いピンク地に馬の柄。
「ユノ先輩。僕、明日お約束したお見舞いにまた行ってきます」「そう? 有難い…」「ユノ先輩…。お忙しいでしょうがまた、来てください」フライが云うと、グレは意外そうにユノを見た。
「帰る前にほんとは見舞いたい。─代りに、頼むね…。グレ」りんご酒をひとくち啜り、ベージュの革のシャツのグレは、黙って頷く。
その翌朝早い時間…ホテルの部屋で、キム侍従からの電話をユノは受けた。
「チャンミンさんが昨夜遅く─脳の処置部が感染し、高熱を出しています」いつになく、緊張した声だった。
「感染─って…」「担当医の話では」凍るような錆色の窓枠に、弱々しい、11月最初の朝の日が、霧のあいだにようやく見える。
「ドレーン処置のための脳の穿孔部から、何らかの契機により、侵入した細菌に感染したとのことです」「それで高熱を…?」「はい、感染症状のひとつです」「他にも…、何か?」「全身に湿疹が、でき始めています」
息を吸い込んで、「今日─最近そちらにお伺いした…チャンミンの幼馴染みが、また見舞うというのです」「ユノさま」キムの声が、やわらいだ。
「ユノ先輩。僕、明日お約束したお見舞いにまた行ってきます」「そう? 有難い…」「ユノ先輩…。お忙しいでしょうがまた、来てください」フライが云うと、グレは意外そうにユノを見た。
「帰る前にほんとは見舞いたい。─代りに、頼むね…。グレ」りんご酒をひとくち啜り、ベージュの革のシャツのグレは、黙って頷く。
その翌朝早い時間…ホテルの部屋で、キム侍従からの電話をユノは受けた。
「チャンミンさんが昨夜遅く─脳の処置部が感染し、高熱を出しています」いつになく、緊張した声だった。
「感染─って…」「担当医の話では」凍るような錆色の窓枠に、弱々しい、11月最初の朝の日が、霧のあいだにようやく見える。
「ドレーン処置のための脳の穿孔部から、何らかの契機により、侵入した細菌に感染したとのことです」「それで高熱を…?」「はい、感染症状のひとつです」「他にも…、何か?」「全身に湿疹が、でき始めています」
息を吸い込んで、「今日─最近そちらにお伺いした…チャンミンの幼馴染みが、また見舞うというのです」「ユノさま」キムの声が、やわらいだ。
