
狼からの招待状
第3章 火影
爪は白銀のいろ。ダイヤのカードが次々と粗末なテーブルの上に、あらわれる。
「あの…」口籠りながら、ユノが云いかけると、カンテラの灯が暗くなって、女の顔が黒く見える。
「彼は…いつ退院できますか」「未来(ミレ)はいつも動いているものだから」アルトの声がさらに低くなって、闇の静けさに沈むよう……
「良くなるのか─それが知りたいんです」何処からか吹いてきた風が、カードを煽り、一枚がユノの膝に落ちてきた。
「…このカード、よく見るんです」スペードの女王。─銀の髪の女占術師の顔が、カードの女王の顔に似ているのに、ユノは気づく。
「最初にこのカードを見たのは…?」「ホテルの部屋─、深夜でした」「それから…」「カード遊びを、していて─今日は…」「今日?」「はい。教会の庭で会った男の子と、お茶を飲んでいて」カサカサと枯れ葉の音を、カードが立てる。
「その教会は、今日初めて行ったのですか」
静かな声に、「知り合ったクリスチャン・フレンドの紹介で…水曜日の午前中に初めて行って」「誰かに会ったのですか」「…街でよく出くわす少女に…教会の庭で」占術師の後ろのテント幕に、人形のようなシルエット。
「あの…」口籠りながら、ユノが云いかけると、カンテラの灯が暗くなって、女の顔が黒く見える。
「彼は…いつ退院できますか」「未来(ミレ)はいつも動いているものだから」アルトの声がさらに低くなって、闇の静けさに沈むよう……
「良くなるのか─それが知りたいんです」何処からか吹いてきた風が、カードを煽り、一枚がユノの膝に落ちてきた。
「…このカード、よく見るんです」スペードの女王。─銀の髪の女占術師の顔が、カードの女王の顔に似ているのに、ユノは気づく。
「最初にこのカードを見たのは…?」「ホテルの部屋─、深夜でした」「それから…」「カード遊びを、していて─今日は…」「今日?」「はい。教会の庭で会った男の子と、お茶を飲んでいて」カサカサと枯れ葉の音を、カードが立てる。
「その教会は、今日初めて行ったのですか」
静かな声に、「知り合ったクリスチャン・フレンドの紹介で…水曜日の午前中に初めて行って」「誰かに会ったのですか」「…街でよく出くわす少女に…教会の庭で」占術師の後ろのテント幕に、人形のようなシルエット。
