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狼からの招待状

第3章 火影

オルゴール音楽が店内に流れる─
 「ユノお兄さん」空のグラスを脇にして、「チャンミンさんから、離れて─この街から、出てください」「どうして」「姉─イボンヌはゲームを楽しんでいるんです、死の遊戯」「遊戯…?」
 ……オルゴール音楽が、クラシックなロックナンバーのリズムに変わった。「ハロウィンの悪夢みたいな話だね」「悪夢どころか─」テディが口を開くと真後ろのTV画面に、中年の男の顔が映った。
 (あ─!?)画面下に〝教会の惨殺体 身元判明〟(チャンミン)…ぶあつい、卑しく動く口唇の─チャンミンに似て…(別人だ、チェンとか云ってた)一緒に〈アンゲ〉で食事をしていた中年の男…。
 椅子に座りなおし、自分のマグカップしか置かれていないのに、気づいた。(テディ)
 周りを見まわそうとして、テディの座っていたソファに…拾い上げると 黒いカード。裏返すと、スペードの女王の無表情な顔が、そこにあった。



 肩までの髪は金いろ。白いワンピースの清楚な若い女性…栗いろの髪の人好きのする若者と腕を組み、袋を持って、ビールを飲む客たちの間をまわる。
 〈アンゲ〉のなかは、いつもより混み合っていた。

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