
狼からの招待状
第1章 幻都
「それは、手術ですか」「いえ、処置でございます。ICUで1週間ほどの治療になります」ティー・セットを勧めた。
「それで、チャンミンは治るのですか」「出血の塊を外に出して、脳を正常な状態にするわけです」「じゃ今は…」「血液の塊が、脳を圧しています」「─チャンミンは、そんなに出血したのですか」キム侍従は声をひそめて、「…車に乗られる前、チャンミンさんは何かに頭をぶつけられた─霧の夜で、見えなかったのでしょうか…。助手席でも痛いと云ってらしたと…お嬢さまのお話です」ティー・ポットの細い口から、熱い湯気。
「それじゃ、事故ではなく…」「ところが、事故の直前までチャンミンさんは、お嬢さまと言いあうご気力でらしたそうです」「言いあう?」「挙式のことで、くち喧嘩になられたと…頭痛でお腹立ちになったのでしょうか」
─ユノはため息をつき、「問題はチャンミンの回復だけです。…従兄の方も近く来られるそうです」「その方でしたら、今朝、お電話でご予定を延期されました」「延期?」「受持ちの患者さんの緊急手術がおありと…お医者さまはご多忙でございますね」
「それで、チャンミンは治るのですか」「出血の塊を外に出して、脳を正常な状態にするわけです」「じゃ今は…」「血液の塊が、脳を圧しています」「─チャンミンは、そんなに出血したのですか」キム侍従は声をひそめて、「…車に乗られる前、チャンミンさんは何かに頭をぶつけられた─霧の夜で、見えなかったのでしょうか…。助手席でも痛いと云ってらしたと…お嬢さまのお話です」ティー・ポットの細い口から、熱い湯気。
「それじゃ、事故ではなく…」「ところが、事故の直前までチャンミンさんは、お嬢さまと言いあうご気力でらしたそうです」「言いあう?」「挙式のことで、くち喧嘩になられたと…頭痛でお腹立ちになったのでしょうか」
─ユノはため息をつき、「問題はチャンミンの回復だけです。…従兄の方も近く来られるそうです」「その方でしたら、今朝、お電話でご予定を延期されました」「延期?」「受持ちの患者さんの緊急手術がおありと…お医者さまはご多忙でございますね」
