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狼からの招待状

第4章 迷路 -MIROH-

 ……窓からの光りが、明るい。新年になり、春めいてきたのだろうか。 ソファーに掛けたグレが、手帳にペンを走らせていると、「帰ろう」…ユノがエレベーターから降りて歩いてきた。笑顔だった。
 「もう? 面会は…」「婚約者の彼女が来てた」 ─特別室の扉が少し開かれ、聞こえてきた二人の楽しそうな声が、ユノの耳に残っている…結婚指輪の話らしかった……(チャンミン)──
 「…帰ろう」
「ユノさま。グレさま」 黒いスーツのキム侍従…彼の眼鏡に、きらりと日差しが反射する。



 剣と剣がぶつかり合い、白い息が噴煙のように上がる。
 気合いと共にヒロインが、太子に斬り込んでゆく─
 「明日の準備か」濃い茶いろの旅行鞄に、タオルを入れながら、振り向いたグレがにこりとする。金属の鋭い音。「また、これ…再放送?」「『帝王の娘 スベクヒャン』…何度見ても面白いです」画面では、ヒロインが太子の傷の手当てをしている。
 「タイトルが良いよ、帝王の息子 スベクダンなら誰も見ない」声を出してグレは笑う。
 「『風の息子』ってあったけど」「イ・ビョンホンさんの…。『風の国』は音楽よくて、俺CD買った」

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