
狼からの招待状
第4章 迷路 -MIROH-
「うん…。チャンミンに会いに、行くよ」「その前に、店にも来てください。年中無休なんです」……
──〈アンゲ〉を出たところで、「ユノ兄さん」暗がりから、呼びかけられる。
「体調…どうですか」金髪の少年が隣に来て、顔を見上げた。
「セオドア…?」「テディですよ」軽くユノの手に触れて、云う。
「きみだったね、テディ…」小さく頷き、「イブの夜に大通りを横切ろうなんて、危ないです」「うん─助けて貰った…、ありがとう」テディのほっそりした指を、握り返す。
「それより、ユノ兄さん…」─二人が歩く小道は、幅が狭い。自然と寄り添うようになる。
「また…、戻って来たりして。ぼく云ったのに─」「忘れてないよ。…この街から出ろ…。チャンミンから離れろ…」
「そうしないから」ちらっとユノに目をやり、「おかしなことが起こるんですよ」「心配は有難いけど」冷風が闇を裂く…
「チャンミンと離れられない」無言のテディ─「チャンミンに俺が無用になって…」足元が明るく照らされた。ホテルの灯だった。
「部屋で話そう」
テディの姿は無かった。 1年の終わりが近い夜に、ユノひとりを残して、去ったようだった。
──〈アンゲ〉を出たところで、「ユノ兄さん」暗がりから、呼びかけられる。
「体調…どうですか」金髪の少年が隣に来て、顔を見上げた。
「セオドア…?」「テディですよ」軽くユノの手に触れて、云う。
「きみだったね、テディ…」小さく頷き、「イブの夜に大通りを横切ろうなんて、危ないです」「うん─助けて貰った…、ありがとう」テディのほっそりした指を、握り返す。
「それより、ユノ兄さん…」─二人が歩く小道は、幅が狭い。自然と寄り添うようになる。
「また…、戻って来たりして。ぼく云ったのに─」「忘れてないよ。…この街から出ろ…。チャンミンから離れろ…」
「そうしないから」ちらっとユノに目をやり、「おかしなことが起こるんですよ」「心配は有難いけど」冷風が闇を裂く…
「チャンミンと離れられない」無言のテディ─「チャンミンに俺が無用になって…」足元が明るく照らされた。ホテルの灯だった。
「部屋で話そう」
テディの姿は無かった。 1年の終わりが近い夜に、ユノひとりを残して、去ったようだった。
