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狼からの招待状

第4章 迷路 -MIROH-

 ちいさな白いテーブルの小物を、ひとまとめにしてフライがそう云った。 
 「史劇(サグ)は音楽とタイトルが合ってる。たとえば薯童謠(ソドンヨ)」「韓国版ロミオとジュリエット。伝説だな」「このスベクヒャンも…、史劇は花吹雪多いけど」「『ソドンヨ』がいちばん凄い」
 鞄のジッパーを閉じ、フライの隣に掛ける。…TVの音声は主題歌の子守唄…「『善徳女王』トンマン…思い出す」「あれ映画みたいな撮りで─CG?」「群集は全部エキストラらしいから、ドラマの絵に見えない」「その前の時代の話が、『花郎(ファラン)』。女王になる前のトンマンも、入隊して男どもに交じって、武術習う」「『花郎』では、王様が身分を隠して入る」─TVは今日最後のニュース・トピック。
 「『大撲(テバク)』はグンちゃんが捨て子の王子様役で、タッチャ(いかさま師)になるけど…『馬医』や『宮廷医官 ホジュン』みたいな─、こういう、医者がいたら…と思う」「お前が、そうなれ」照れ笑うグレ。
 「シォニが、『根の深い木』を見て歴史好きになったって云う。『インス大妃』も史劇堪能できるドラマだって─ね」

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