
狼からの招待状
第1章 幻都
「ご注文伺います」「うん…ジンフィズを」「お待ちください」頭の後ろで留めたロングの髪は、夜空のいろ。「今日は、ひとり?」「はい」「アルバイト…? この前は見なかったけど」「今夜は、臨時です」八角形のコルク製のコースターをテーブルに載せると、青年の髪がさらさらと流れる。
灰のスエードのジャケットを、じかに羽織っていて、ジャケットの丈は短い。「今晩も、霧だ…」「いつも、そうです」 ジンフィズのグラスを置き、「少し話していいかな」「ええ。…どうぞ」「小さな公園で─、変わった女の子に、会った」「はい。…」「─何でも知ってるみたいで…こっちの事情をね─飲み過ぎるなとか」
また、グラスを取り上げ、「教会の場所を訊いたら…パッと消えて」カクテルを啜り、「人形みたいな…妖精の子─」霧の粒に濡れたコートを、脱いだ。
「不思議なことがある街です」青年は静かに云った。
「教会には…観光ですか」「俺はクリスチャン。─静かで、いいからね」「僕も教会に、通ってます」「そうなんだ」カクテルを飲み干し、「おかわり、作ってくれる? これ美味しい─」笑顔になって、オーダーした。 「臨時のパートタイム・バーテンダー、合格でしょうか」
灰のスエードのジャケットを、じかに羽織っていて、ジャケットの丈は短い。「今晩も、霧だ…」「いつも、そうです」 ジンフィズのグラスを置き、「少し話していいかな」「ええ。…どうぞ」「小さな公園で─、変わった女の子に、会った」「はい。…」「─何でも知ってるみたいで…こっちの事情をね─飲み過ぎるなとか」
また、グラスを取り上げ、「教会の場所を訊いたら…パッと消えて」カクテルを啜り、「人形みたいな…妖精の子─」霧の粒に濡れたコートを、脱いだ。
「不思議なことがある街です」青年は静かに云った。
「教会には…観光ですか」「俺はクリスチャン。─静かで、いいからね」「僕も教会に、通ってます」「そうなんだ」カクテルを飲み干し、「おかわり、作ってくれる? これ美味しい─」笑顔になって、オーダーした。 「臨時のパートタイム・バーテンダー、合格でしょうか」
