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狼からの招待状

第4章 迷路 -MIROH-

 「ユノ先輩は─」「教会の近くの大通りの歩道に、立ってたんです」  コートを脱がされ、白いシャツで眠るユノ…。 「先輩─」ゆっくり、ユノがベッドから身を起こす。フライの顔に笑いかける。「今…何時…?」「夜中です。そろそろ1時─」「イブの…ミサ終わっちゃったね」
 うつむくユノに、グレが熱い紅茶をすすめた。 「約束を守れなくて…ここまで付き添ってくれて…グレ…」紅茶をひとくち啜り、「悪いね、有難う」
 「ユノ先輩」やわらかな口調のグレ。「先輩の遅刻のおかげで、僕は命拾いしました」フライの瞳が、グレに向けられた。
 「ユノ先輩。ミサの最中に、教会に酔っぱらいの車が突っ込んだんです」「…怪我人がたくさんで、亡くなった人もいます」ユノの目が大きく開かれた。
 「驚かせて、すみません。先輩─また…寝んでください」椅子の下から、白い革のバッグを取り上げたグレは、「これを飲んで落ち着いて、ゆっくり眠ってください」赤い錠剤をトレーに置く。

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