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狼からの招待状

第4章 迷路 -MIROH-

(チャンミン)ブーツの足元にも白い…雪…(赤い)目を上げると、手押し車の轍と、足跡…(チャンミン)赤い筋─
 (チャンミン)黒い影が、クリスマス・ツリーの…樅の木のような…、木の空洞のような…(チャンミン。お前─)影はますます大きくなり、黒さを増し、闇に辺りは閉ざされた。
 (チャンミン…)
 ─ごぉっと風が吹き、骨の髄まで凍る、冷たい─「危ない! ユノ兄さん…」コートの端を掴まれて、大通りの真ん中にいる自分に気づく。
 クラクションを浴びせられ、夢から覚めた人のように、目を瞬いた。
 「ユノ兄さん、歩道に上がりましょう」記憶にある声と温かい手が、ユノを導く。
 


 「ユノ先輩」(チャンミン)……
 「ユノ先輩」ホテルのベッド。傍らの人影が、寝顔を覗き込む─ 
 ドアにノックの音。
「大丈夫か」緊張した顔のフライが入ってきた。グレが人差し指を唇に当てるまでもなく、声をひそめて、訊く。
 「ユノ先輩が、巻き込まれたんじゃないかと…」「僕も危なかった」グレが、ユノの寝顔を見るフライの脇に立ち、ため息まじりに呟いた。

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