
狼からの招待状
第4章 迷路 -MIROH-
苺をもう1つ、口に入れ、「俺、妄想、…被害妄想は、チャンミンがあって」「妄想?」「無意識にヘンなこと考えて。考え過ぎかな」グレに微笑いかけた。
「疲れてるんですよ。ユノ先輩」「まあ、いろんなことがあって…そうなんだろう─な」口を噤んだ。
「そうだ。手紙を有難う」「レポート用紙に走り書きで─失礼しました」
紅茶はグレが淹れてくれた。それをひとくち飲み、「チャンミンの様子、良いみたいだね」「検査はひととおり済んで、容態も安定しています」「再来週からクリスマス休暇。それが明けたら、会いに行きたい」「いつでも、お連れします。ユノ先輩。降誕祭の最後のミサも二人で行きましょう」
(ユノ先輩…どうしたんだろう)黒い鉄錆いろのジャケットに、銀のスカーフを衿にしたグレ。 人待ち顔で、教会のなかを見まわす…
周囲の囁き声は、バスの事故の話…(クリスマスを祝うより、追悼ミサ─)隣にひとの気配…赤い髪の女性が、グレを見上げ挨拶がわりに微笑みかけてくる。
「失礼」─約束の時間はとうに過ぎている。待ち合わせた教会の前の門にも、ユノの姿は無かった。
「疲れてるんですよ。ユノ先輩」「まあ、いろんなことがあって…そうなんだろう─な」口を噤んだ。
「そうだ。手紙を有難う」「レポート用紙に走り書きで─失礼しました」
紅茶はグレが淹れてくれた。それをひとくち飲み、「チャンミンの様子、良いみたいだね」「検査はひととおり済んで、容態も安定しています」「再来週からクリスマス休暇。それが明けたら、会いに行きたい」「いつでも、お連れします。ユノ先輩。降誕祭の最後のミサも二人で行きましょう」
(ユノ先輩…どうしたんだろう)黒い鉄錆いろのジャケットに、銀のスカーフを衿にしたグレ。 人待ち顔で、教会のなかを見まわす…
周囲の囁き声は、バスの事故の話…(クリスマスを祝うより、追悼ミサ─)隣にひとの気配…赤い髪の女性が、グレを見上げ挨拶がわりに微笑みかけてくる。
「失礼」─約束の時間はとうに過ぎている。待ち合わせた教会の前の門にも、ユノの姿は無かった。
