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狼からの招待状

第4章 迷路 -MIROH-

 ──「ユノ先輩」…ゆっくりと身を起こそうとして、やわらかな動きの手が肩におかれ…「無事で何よりです」「ご気分は如何でございますか。ユノさま」
 ─(チャンミン。…)疲労感が頭の芯を、痺れさす。枕に頭をつけて、目を閉じた。重い瞼…
 「鎮静剤を貰って少し寝んだほうがいいです」「看護師を呼びましょう」
 …グレとキム侍従の心配そうな視線を、目を閉じても感じる。
 ……バスが夕焼けのなかを走り去り、取り残されて冷風に吹かれ、包帯を頭に巻いたチャンミンの姿…(まぼろし?)を思い浮かべ…(イボンヌ─)……遠く…下界からの地鳴りに似た響き。
 ─黒い雲が煙のように湧き上がって…異臭が鼻を刺す…焦げ臭い、油…その刺激臭が喉の奥にまで、突き刺さって……
 ─痛み出す目を瞑り、蹲る後ろで、サイレン…、飛び出して行く─、…救急車……(チャンミン)
 ドアから、誰かが入って来た気配がした。
  


 ………………………………「ユノ先輩─」ドアを開けると、フライが笑顔で立っていた。
 「気分どうですか」無理に笑顔を作ったユノは、「ホテルにも戻れたし。だいぶ…いい」

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