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狼からの招待状

第4章 迷路 -MIROH-

 病院のシャトルバスに乗り、チャンミンの眠る顔を見に行き、キム侍従 と話す…帰り道、〈アンゲ〉で夕食を摂り、マスターやフライたちと閉店まで過ごす。
 半ば引退したような毎日だったが、芸能界に戻る気はあまり無かった。 ─ようやく、バスの横っ腹と並んだ。乗客へバスの車体を叩いて合図を送る。 
 ─むずかる幼児を無視してスマホの画面に見入る母親、欠伸する若い男、居眠りしかける老人…誰もユノに気付いてくれず…(チャンミン)……
 ……窓枠に片肘をつき、手にした紙コップを口に…、ぼんやり…その手を止めて、(チャンミン)つまらなそうな顔で包帯の巻かれた頭を、窓に寄りかからせる…(チャンミン)
 ─窓の下を、ユノは何度も両手のひらで叩く。 風に煽られ、大きく曲がり出したバスに、突飛ばされるように、白いコンクリートの歩道わきにユノは下がった。
 バスの後部座席を見送る。ひとり座る少女の背の金の髪(…チャンミン)─再び、走り出そうとする─(チャン…ミ…ン)
 鈍い冬の夕日…バス最後部のガラスを照らす……金の流れる長い髪、リボンが、…淡かったピンク色から真紅に…くるりと振り向いて、無邪気に気に笑う…イボンヌ。

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