テキストサイズ

ぼっち─選択はあなたに─

第24章 モンブラン城の秘密

「さっきからこそこそと何してるんだ」

 ヒカルが大声を出したために、クロードに見つかってしまった。

「なんだよ、最初から気づいてたのかよ」

 バットは面白くないという顔をする。

「おはよう、ヒカル。よく眠れたかい?」

 汗で濡れた髪をかきあげながらリュージンが近づいてきて、思わずヒカルはドキッとした。

(そっか、なんかいつもと違うと思ったらバンダナしてないからだ。それに服装もちょっと違う)

「あの、リュージンが王子って……」
「ああ、ごめん。あとでちゃんと話そうと思ってたんだけど──オレ、実はラザニーア王国の第二王子なんだ」
「!!」

 さらりと言うリュージンに、ヒカルは両目を見開いて驚いた。

「俺たちもさっき聞いたんだ。バンダナしてリュート持ってりゃ、わかんねぇよ、護衛もいないしな」

 バットの話を聞いて、ヒカルはキョロキョロと辺りを見回した。そういえば確かに今までリュージンの周りには誰もいなかった。

「護衛ならいますよ、ここに」

 すると木の影から全身黒づくめの男が現れた。

「シャ……シャドー!?」

 ヒカルはビクッとして、思わずリュージンにしがみついてしまった。
 それを見てリュージンはクスッと笑う。

「大丈夫だよ、ヒカル。こいつはシャドーみたいな男だが人間だ。紹介しよう、オレの側近のヤクモだ」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ