無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「あ～もう！ なんで右腕を切り落とすんだよ！ 触手増やしてどうすんだよ！」

「いや、待て。もしかしたら何か策があるのかもしれねぇぞ」

「お……おい！ ヤマモトゲンスケの刀を見ろ！ 何か光ってないか！？」

　観客たちは一斉にゲンスケの刀に注目した。
　確かに刀は赤い光を帯びている。

「あれは……あいつの血じゃないのか？」

　観衆が固唾を飲んで見守る中、ゲンスケは再びアズサに立ち向かっていった。

「オラオラオラァ！」

　アズサは両腕の触手を使って攻撃する。
　自由自在に動く触手はゲンスケの体に絡み付き、きつく締め上げた。

「くっ…！」

　さすがのゲンスケも顔を歪ませる。

「頑張れ、ゲンスケ！ 死ぬんじゃねぇ！！」

「頼む、あいつをやっつけてくれ！ あんたが食われたら、もう誰も手をつけられねぇ！！」

　観客席からはゲンスケを応援する声が飛び交った。
　
　ゲンスケは力を振り絞ると、目の前の触手に刀を突き刺した。すると少しだけ力が弱まり、その隙をついて脱出した。そして次から次へと迫ってくる触手をぶった斬った。

「ハハァ！ 無駄だぞ、ゲンスケ！！ 貴様がやっていることは無意味だ！ おとなしく俺に食われろ！！」