
Melty Life
第5章 本音
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他人同士で家族を偽って暮らしている自宅に帰り着いても、あかりの指は、未だひとときの記憶に顫えていた。
総身を小さくたわませて、切れ切れに嬌音を上げる水和の濡れた内襞は、あかりの指を吸いつくように受け入れた。
二度、三度、と淫らに慰め合った少女達とは違う、いじらしげに喘ぐソプラノは、快楽より未知の衝撃に呑まれる感覚の方が多く差し響いていたと思う。だのに痛くないかと確かめても、水和は少しも首を横に振らなかった。
初めは極めて緩慢に、尊い蜜壺を貫いた。そんなあかりに、大丈夫だよと水和は笑った。好きな人と一緒になれて辛いはずないじゃない、と。
驚くほど力を抜いてあかりを迎えた水和の気色は、たった十数年離れていた半身が巡り逢いでもして、合わさるべくして合わさる相手とようやく一つになれたみたいにさえ見えた。
外側からも内側からも、あかりは一生分の想いを注ぐつもりで、指を這わせてキスを注いだ。熱を含んだミルクに濡らした胡桃の匂いが、甘く濃密に立ち込めた。
あの時あかりを満たした芳香は、掬い上げた愛液を全て舐め取って乾いたあとも、水和と別れを告げて帰路に着いても、いっそう濃さを増していたのではないか。…………
水和がいれば何もいらない。あかりの幸せは、きっと水和の笑顔にある。
