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Melty Life

第5章 本音


 ワンピースが濡れるのを危惧したあかりの勧めに、水和は脱衣を承諾してくれた。

 露わになった腰回りの曲線が、あかりの息遣いを危うくする。落ち着け。胸の内に言い聞かせて、あかりは水和のあばらやへそをキスで濡らして、ストッキングを下ろした。


「ん!ぅぅ……あああっ、お風呂、入ってない、から……」


 太ももを撫で回す。撫で回したあとをキスでなぞる。

 脚はダメ、と羞じらう水和を、あかりは見上げる。


 …──イヤそうな感じしないので、痛い時だけ言って下さい。


 意地悪、と、顔を覆った水和の片手を引き剥がす。薬指の付け根に唇を寄せる。


「もっともっと、知りたいんです。水和先輩を」


 話さなくて構わない。言葉だけが、いつも正しいとは限らない。


 水和にも、あかりに話したところでどうにもならないものがある。

 それでいながら、あかりも水和も、きっと秘匿に息が詰まっている。今明かさせない事実をこの先も明かせるはずないのに、全てを見せ尽くせない上で、側にいたいと願っているのだ。


 人間は、きっと誰もが、とけ合えない精神を埋め合わせるようにして、身体を重ねる。

 理解し合えないのを捕いたがって、肉体を交えられるように出来ている。



「恥ずかしいから、見ないで……。電気、消せば良かった……」

「電気消したら、見えないじゃないですか。水和先輩は、綺麗で可愛いです。どうにかなりそうで、あたしの方が恥ずかしくなる」

「本当に、……初めてなんだ。私」

「痛かったら、あとであたしのことも殴ってもらって構わないんで」

「ふふっ、息止まるくらいキスしよっかな」

「それは……苦しいかも」

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