
Melty Life
第5章 本音
「花崎ちゃんの様子、見に行ってくれないかな」
「先輩達は行かないんですか」
「ずっとLINEしてるし、私達じゃ元気づけようとしても効果ないみたい。宮瀬さんなら、少しは刺激になるんじゃないかな」
「学校に来て下さいって、……あたしには言えません。あたしのせいみたいなものだし」
「無理に登校は勧めないで。余計に傷を抉るから」
「だったら」
「妹さんだっけ。宮瀬さんは関係ないでしょ。貴女も大変だったよね、四月のデマ。ウチの学年にまで広がってたよ、どういう神経してるんだか」
「人様のご家族にこんなこと言っちゃ悪いけど、似てないよね。貴女と咲穂さん。あの子には退学になって欲しいくらいだけど、貴女には花崎さんの側にいてあげて欲しい」
実は宮瀬さんを一番応援してるんだ。
屈託なく頷き合う百伊と山下は本当に何も知らないのだと、今一度、あかりは思い知る。
「それで来てくれたんだ。百伊も山下さんも、心配性なんだから」
刻んだ赤いドライフルーツの入ったガラスのティーカップにアールグレイを注ぎながら、水和はあかりが想像していたより普段と変わらない調子で溜め息をついた。
あかりが訪ねてきて、水和のためになるのだろうか。百伊達でも彼女を力づけられないと言っているのに、あかりに何が出来るのか。
