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Melty Life

第5章 本音


* * * * * * *

 隼生に頼み込んで現場の監視カメラを確認した千里は、水和の潔白が証明出来るものを何も見つけられなかった。

 それから進展はない。一年生の生徒達を中心に暇があれば訊いて回っているものの、ぱっとする情報は得られなかった。


 父親の因縁の女を訪ねたのは二日前。

 校内で見かけるあかりは、何事もなかった顔で登校しているようだ。いつも数人の友人達と行動しているあかりは、事情を知るのが眞雪だけということから、普段と変わらない風を装わざるを得ないのかも知れない。千里があかりの立場なら、平気で家には帰れないし学校生活にも身が入らなくなるだろう。


「テメェは花崎さんのためにやったのか。宮瀬のためか」

「どっちもだよ」

「お前が無理して壊れるぞ」

「彼女達の役に立てないよりは、マシだ。まずは花崎さんだな……先生達が、何故あんなに咲穂さんの味方をするか。おじいちゃんの話からして、花崎さんは本当に疑われているわけじゃないんじゃないかと思ったんだ」

「同意の不倫だろ。そりゃ避妊しなかったのは人としてヤベェけどよ、ムショにぶちこまれるほどじゃねぇし、千里の親父にとって、女の親戚の言いなりになるほどの弱みか?」

「おじいちゃんには確認した。あの子の入試も今回の件も、宮瀬さんの親の頼みをきくしかなかったんだって。ウチの面子に関わることだ、おじいちゃんの独断ではどうにもならないからな」

「はんっ。金持ちってのは弱ぇな。頼みか。脅しだろうが」

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