
君と僕の世界(嵐)
第2章 お忍びハワイ旅行
…それは先月、軽くもめたあとの仲直りの際にした約束だ。バカ、アホ、クソ…この3つはとくにタブー。もし約束を破ったら、その都度翔ちゃんの言うことを絶対に聞かなくてはならないというルール。…それを呆気なく破ってしまった。
翔「はあ〜…。言っちゃったかあ〜…あんなに約束したのにね…」
和也「ち、違うっ!これは思わず、」
翔「俺との約束なんてそんなもんだよね〜…はは…分かってるよ…」
和也「だっ、だから!ごめんって…」
和也「言うこと、なんでも聞くから!許してよ…」
俺が翔ちゃんに怒ってたはずなのに、あっという間に立場が逆転してしまった。でも約束を破ったのは俺だ。…こんな悪魔な奴でも、翔ちゃんに嫌われたくない。
翔「…なんでも聞くって言ったね?じゃあこっち、きて。」
和也「こっち…?あ、どこ行くの!」
翔「ふふっ…ひみつ」
翔ちゃんはコーヒー牛乳の空き瓶を棚に戻すと、
店の外へと俺の手を引いた、
外はもう真っ暗で、海の音が聞こえるだけだった。
和也「ねえ、どこ?」
街灯一つなく、真っ暗な道。
ここに一体何があるのか
全く想像できない、
俺たちは店の脇の細い道を通って、
湯船から見えた海とは真逆の方へと進んでいく。
翔「あ、見えたよ。」
和也「え…?」
ああ、確かに、なにかある。
道の先に微かに1つ、光が見えた。
米粒くらいの大きさで、だけど眩しいほどの光。
その光は歩みを進めていくうちにどんどんと形を変えていって
目の前は光の海でいっぱいになった。
和也「わぁ…!綺麗…!」
そこに広がっていたのは丘の上から見る
見たことないくらい綺麗な夜景だった。
翔「ふふ…っやっぱ見えたね。…ここの温泉、ちょっと丘になってるじゃん?だからもしかして、と思って。大当たりだね」
和也「……すげー…」
東京の夜景とはまた違う、
オレンジ色に包まれた世界。
夜景なんて腐るほど見てきたはずなのに
あまりの景色に思わず息を呑む。
翔「…夜景なんて興味無いでしょ?」
和也「…まあ、…興味無いけど…。」
翔「俺と見れたから特別?」
和也「ふっ…そういうことにしとくよ」
そんなギザな言葉、簡単に言えちゃうの翔ちゃんだけだよ。聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
翔ちゃんは繋がれた手のひらを1度解き、恋人繋ぎになおした。
翔「まだ怒ってる?」
