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君と僕の世界(嵐)

第2章 お忍びハワイ旅行


俺は翔ちゃんの肩に寄り添いながら
ただずっと、星を見ていた。

無意識に星の数を数えてしまうくらい
長い時間ぼーっとしていた気がする。
翔ちゃんはそんな俺に気をつかって何も言わないでくれたけど、
いつまでもこうしていられないのも事実で、
それを知らせるように俺の頭をぽんぽんと叩き手を握った。

翔「もう行こうか。みんな俺たちのこと待ってるよ。」

和也「…あ、そか。…ごめん、見入ってたみたい」

翔「星も海も、俺達にはなかなか近づけない場所だからね…っ…しょっと、」

和也「おっとと、ありがとう。」

翔「忘れ物ない?ゲーム持った?」

和也「ゲーム…。あ、ある。大丈夫!」

翔「よかった。じゃ、行こうか」

和也「うん!」

iPhoneもある、お土産も…ある、カメラも、ある!忘れ物はない。大丈夫だ。
この後はみんながまってるホテルに戻って、少し話をしたら寝よう。…今日はみんな疲れてるはずだ。

俺は砂浜で沈む足をゆっくりと前に動かして
翔ちゃんの後ろをついて行った。

翔ちゃんの足跡はなんだか俺より大きいみたいで、
その跡を踏むとずぶずぶと足首ぐらいまで沈んでしまう。こんなゲーム、昔あったな。なんて思い出していたら翔ちゃんの足がぴたっと止まって、俺の方へ向いた。

翔「…。」

和也「…あれ、なに、どうかした?」

翔「俺、忘れ物しちゃってた。」

和也「えぇ、何を?まあいいけど取ってきなよ」

しっかり者の翔ちゃんが忘れ物をするなんて珍しい。翔ちゃんは少し駆け足で、重たい足をせっせと動かし俺の方へ向かってきた。

でも、あれ…他に荷物…もってたっけ?
和也「ねえ、翔ちゃん。他になにかもって…」

翔「かーず、こっち」

和也「え?」

ちゅっ



和也「…っ!」

和也(…これって…!)

忘れ物が何か階段に気を取られていたうちに、
翔ちゃんはすぐそばまで来ていて
いたずらに俺の唇を奪って笑った。



翔「わすれもの」

その瞬間思い出したのは
あの時のプラネタリウムだった。

作り物だけど、満点の星空の下で重ねた唇
決して綺麗なキスじゃなかったけど
あの瞬間を永遠に忘れたくないと思うほど
星空を背景に見る貴方の儚い表情に心奪われた。

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