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君と僕の世界(嵐)

第5章 遊園地デート



少し肌寒さを感じていた己のことなど忘れて
俺は空を埋め尽くす大輪に心奪われた。


和也「こんなとこで…見られるなんて…」


ここに来る前に通った人だかりはこれを見るために特等席を確保していた人たちだったのか。
だけど隣の翔ちゃんはそんなことこれっぽっちも知らなかったみたいに目を丸くして空を見上げてる。サクラランの花が色を変える度、その頬は赤、黄色、緑と多彩に色を変えた。


翔「~~っべぇ~。こうやって花火なんて見るの、何十年ぶりだろ…すげぇ~…」


和也「はは、やっぱ知らなかったんだ。花火やるの」


翔「知らなかったよ~~!!知ってたらもっとイキな演出してるよ~!」


和也「イキな演出て…。これでも十分、心にガッてきたけどね」


翔「お~~…。ここで足止めしといて良かった~…。してなかったら帰ってる途中に花火バーンってなってたよ、すんげぇ悔しかっただろうな」


お守りと称したお揃いのキーホルダーを渡した後、タイミングよく夜空に大輪が上がる……偶然にしては出来すぎてるくらいのシナリオ。ここにいると、ほんとに童話の主人公にでもなった気分だ。



和也「あのさあ…、俺、今日…すんごい楽しかったよ」


和也「誘ってくれて…ありが…」



翔「…え?ごめん、聞こえない」


和也「…っ」


…ちょっと照れくさいこと言ってやろうと思ったのに…花火の音と被って俺の声はかき消されたみたいだ。…2度も同じことを言うのは恥ずかしいけど…仕方ない。


和也「…だ、だから、今日は!」


翔「ごめん、なに?」


和也「今日はありがとう!って!」


翔「はあー?」


和也(ムカッ)


和也「ちょ、お前本当は聞こえてんだろ!!」


翔「いや聞こえてねーって!」


和也「ほら聞こえてんじゃんよ!」


翔「まじで聞こえないの!もっとこっちよればいいだろ!」


和也「はあ?!嘘ばっかつきやが…って!」
和也「…!?…っ!//」


下らない言い争いにヤケになった翔ちゃんは、思い切り俺の腕を引いてその胸に抱き寄せた。

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