
君と僕の世界(嵐)
第5章 遊園地デート
翔「ごめんね、遅かった?」
和也「…ハァ…ッ、翔ちゃん、俺…!」
翔「ふふ、かず、手出して?」
和也「…っ…手…?」
翔「ん?はーやーく」
俺の気持ちを無視するように
翔ちゃんは俺の心にズカズカと入ってき気がして。
それになんだか、デリカシーないななんて自分勝手に思ったりもした。
だけど翔ちゃんはそんな身勝手な俺には気づきもしないで
優しく、微笑んでいた。
和也「…は、い…。」
俺は肌寒さでかじかむ右手を翔ちゃんの前に差し出す。
翔ちゃんはその手をなんだか嬉しそうに自分の両手で包み込んだ。
温かい…。
翔ちゃんの体温がその細い指を通して俺の身体に流れこんでくるような、そんな感覚で。冷えきった指先はだんだんと機嫌を治していく。
和也「あれ…」
その時、ふと手の中にある違和感に気づいた。
翔ちゃんの指じゃない、氷みたいに冷たい何か。
それが翔ちゃんの仕業なのは言うまでもないだろう。
和也「…何?」
翔「なんでしょう、手、開いてみて。」
和也「え……っ、うん…、」
言われたとおり、恐る恐るゆっくりと手のひらの力を緩めていく。
指先の影が後ろに伸びた時、それは姿を現した。
和也「…っ!こ、これ!」
半分になったハートをぎゅっと抱きしめている、可愛いクマのキーホルダー。
さっきお土産屋さんで見たやつだ。
さすがにこの年でカップルとしてのお揃いは恥ずかしくて、可愛いねって呟いただけで手を伸ばすことが出来なかった。
翔「んっ、おそろい」
俺の手の中でハートとハートがピッタリと重なる。
つがいの持ち主は紛れもなく翔ちゃんだった。
和也「これ、俺のために…!」
翔「なーに当たり前でしょ?欲しそうな顔で見てたから」
和也「翔ちゃん…っ」
翔「ふふ…っ嬉しい?」
その問いに俺はコクコクと激しく首を縦に振った。
嬉しくて嬉しくてたまらない。今すぐにでもハグしちゃいたいくらい。
翔ちゃんはそんな俺の気持ちを汲み取ってるかのように、代わりに頭をポンポンと撫でる。
翔「これを何かに付けるってのは…さすがにおじさんたちがすることじゃないけどさ、」
翔「毎日が頑張れるように…お守り、みたいに思えたらいいなあって。」
和也「…お守り…?」
和也「翔ちゃんにも…お守りいるの…?」
