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君と僕の世界(嵐)

第5章 遊園地デート



今はバレるバレないの恐怖より
翔ちゃんとの特別な一日が終わってしまうこの現実が一番切なくて、寂しくて。得体の知れない曇った感情が俺の心にグルグルと暗い渦を巻いている。



和也「…もう…終わっちゃうのかあ…」



明日から、また仕事で
ずーっとずーっと、毎日仕事で。
アイドルってきっとそんなもん。
普通の人間にはもう戻れない。
この数十年間、それを覚悟で生きてきて
確かに辛くて投げ出したいって思ったことは何度もあったけど
それを行動に移そうと思うほどの感情ではなかった。


だけど翔ちゃんと付き合ってから
たまにある幸せがすごくすごく愛おしくて
まあ、依存してるのかな。この気持ちに。

だから離れられない、離れたくない。

翔ちゃんとずっと二人きりで生きてたい。

2人だけの世界で、誰にも邪魔されず、
変装なんてしないで堂々と歩いて
翔ちゃんの表情ひとつひとつ見逃さないように。


…俺はどんどんワガママになっていくなあ…。


…だめだ、

だめだよ。

感情を捨てなきゃ。


俺はアイドル。

誰かのものになってはいけないし、

誰かを自分のものにしてはいけない。

分かってるのに…
二人きりの時は、翔ちゃんは俺のものだって
俺は翔ちゃんのものだって…そう思っちゃうから


矛盾…してんだよなあ。


アイドルしてて、
楽しいのに、苦しくて、…こんな俺が誰を笑顔にできるんだろう。

ああもう、イライラする
こんな時に考えることじゃねえだろ。

…あぁ、ストレス、ストレスでしかねえ。
こんなんじゃ俺いつか壊れる、
翔ちゃん、早く、早く翔ちゃんに会いたい。
早く大丈夫だよ俺がついてるよって抱きしめてほしい、翔ちゃん、翔ちゃん、翔ちゃん、
俺は、もう、翔ちゃんがいなきゃダメなんだよ、
翔ちゃん、翔ちゃん…


和也「翔ちゃん…っ!」


翔「わわ!どうした、かず。」


…翔ちゃん………そう…翔ちゃんだ。
ああ、俺の元にちゃんと帰ってきてくれた。

翔ちゃんの頬は少し赤く腫れていて、
きっと俺のことが心配で走ってきてくれたんだ。

愛おしい
激しい感情の波で理性は押しつぶされそうだった。

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