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Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

言葉を交わすことは出来ないけど、しおんとふたりきりの空間は居心地が良い

ひとくちコーヒーを飲んでは微笑み合う…

変に『話さなきゃ』とか思わないんだよなぁ

これも彼女から感じられる柔らかい雰囲気のせいなんだろうか…

とにかく、旨いコーヒーが更に旨く感じるんだ

この心地良い時間をずっと過ごしていたいけど、そうはいかない

コーヒーを飲み終えて、お互い準備を始めた

俺はスケッチブックと、しおんを撮影する為のタブレット
もちろん、モバイルバッテリーもバッチリ用意

彼女は洋服を着替えるからと、別の部屋へと出て行った

ガチャっと、ドアが開く音がして、そちらに目をやれば
白いワンピースを着て、肩にストールを掛けたしおんが立っていた

「……良い」

しおんが首を傾げる
『何が?』とでも言いたそうな表情

俺はしおんに駆け寄る

「めっちゃ良いよ、その服装!
ストールが羽衣みたいで、月の女神と言うよりも、天女みたいで
すっげぇ綺麗!」

途端に、しおんの頬がポッと紅く染まった

求めていた以上の姿でしおんが現れて、思わずテンションが上がり
こっ恥ずかしい事を言ってるって事に、しおんの様子を見て気付く

「あっ!本当に綺麗だから、嬉しくてついっ」

言い訳が言い訳になってなくて
益々、顔を紅くしてしまったしおんは、俯いて、ふるふると横に振る

俺はしおんに、俺の本当の気持ちだとわかって欲しくて、しおんの右手に触れた

ビクッとしたしおんが、視線だけでチラッと俺を見上げる

俺は両手でしおんの右手を包み込む

「しおんにモデル頼んで良かった
ありがとう…今日、来てくれて」

しおんは、はにかみながら小さく頷き
その仕草を見た俺の心臓は、キュンっと音を鳴らした

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