テキストサイズ

Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

「それでは、早速打ち合わせをさせていただいてもよろしいでしょうか?」

櫻井さんが、分厚い手帳を取り出した

「あっ、はい!お願いします」

「それではまず、大野さんがどの様なイメージで描きたいのか教えていただけますか?」

「イメージ…は、正に月の女神なんですけど…」

「衣装とかは?どうしますか?」

やべぇ…わざわざモデルを依頼してイラストを描くのが初めてで、服装なんて何も考えてなかった

今までは、自分で題材を探しに行くパターンが多かったからなぁ…

「え、と…」

「月の女神なら、アルテミス?
こんな感じですかね?」

櫻井さんがスマホを弄り、その画面を俺に見せる

そこに写っていたのは『アルテミス』の石像の写真

白一色で作られた石像は、ひらひらとしたドレスともワンピースとも取れる服装をしている

「そう!これ!こんな感じです!」

「わかりました。サイズの事もありますし、衣装はこちらで用意させていただきます。
多少イメージと違っても、大野さんはイラストレーターなので、その辺は大丈夫でしょう?」

「はい。大まかなイメージさえもらえれば、あとはこちらでどうとでも描けます」

そう言うと、櫻井さんは小さく頷いた


「それでは、以上の条件でよろしいですか?」

場所や日にちを決めて、全ての打ち合わせが終わった

モデルをしてもらえるのは、一日限り…

あとは、動画や写真を撮っても良いと言うことなので、それでオッケーした

「あぁ、それと…大事な事を一つ言い忘れていました
当日、私は同行出来ません」

「そうなんですね
でも、大丈夫ですよ?俺、描き始めると集中して、周りが見えなくなりますから
櫻井さんがいらっしゃっても、する事なくて、きっと暇になっちゃいます
モデルの彼女ですら、暇になるかも…」

「それならその方が、彼女としても助かります」

「…?どう言う事ですか?」

暇な方が助かるなんて…

「彼女は喋ることが出来ません」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ