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Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

「こんにちは」

約束の日、櫻井さんは時間通りに仕事場に姿を見せてくれた

「お待ちしてました!さ、どうぞっ!」

「し、失礼します…」

疑っていた訳じゃないが、約束を守って来てくれた事が嬉しくてテンション高く出迎えると
櫻井さんは若干引いてしまったようだ

いかんいかん、少し落ち着かなくては…

櫻井さんに嫌われたら、この話が流れてしまう可能性だってあるんだから

「コホン…」

小さく咳払いをして、落ち着きを取り戻す

「すみません。今、お飲み物をお持ちしますので、こちらでお待ちください」

ここには応接セットなんて置けるスペースないから
俺の作業用の椅子の横に、もう一つ椅子を置いた

「ありがとうございます」

櫻井さんが椅子に座るのを見て、飲み物を入れに行く

失敗した…
来客なんてニノくらいだから、飲み物がコーヒーしかない

櫻井さん、コーヒー飲めるかな…
とりあえずコーヒー淹れてみて
ダメなら、急いでコンビニに買いに行けばいいか

「お待たせしました。すみません、コーヒーで大丈夫ですか?
コーヒーしかないのに、他の物をご用意するの忘れてしまって…」

「ありがとうございます
大丈夫ですよ?私も普段はコーヒー派ですから…いただきます」

相変わらず、長い前髪のせいで目は良く見えないが
コーヒーを一口啜った彼の口角が上がった

良かった…本当に大丈夫そう

前回会った時は彼女を否定した事に、少し腹が立ったけど
それ以外は人当たりの良い人なんだよなぁ…

電話で話した時も、丁寧で優しい聞き心地の良い声…
その口調と声に、穏やかに会話が進められた

こんなに紳士的な人が、何故彼女に対してだけ辛辣な評価をするのか不思議なくらいだ

ニノが言ってたように、何か特別な理由があるのか?

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