
ホントノ私ハ、此処ニイル
第2章 第2話
腹部に入れた切れ目から内蔵を掻き出すように、その大きな指で自分の中も奥までえぐってほしい……
ためらうことなくエラに刃先を受け入れその命を絶たれるように、自分もすべてを相手の意のままに操られてみたい……
肉を扱う人達より激しい手さばきに、支配されたい欲求がこの上なく高まって、じっと見つめているだけで体が勝手に火照ってしまいます。
一見ぞんざいに扱われているような下処理ですが、そのあとに待っている刺身への加工と対比させるための演出と考えると、もっと激しくいたぶるように扱われるのもいいかもしれない、なんて欲張った感情が生まれることも。
出刃包丁は確実に、わたしをマゾヒズムの世界にいざなってくれるようです。
