テキストサイズ

やさしく愛して

第1章 やさしく愛して

         6

 「父が、
  藤原審爾さんの。
  『さきに愛ありて』が大好きで、
  そのヒロインが、
  霧子なんです」
 「私も、
  作品も、
  ヒロインの霧子も、
  大好きです。
  『さきに愛ありて』は、
  女性の、
  必読書だと思っています」
 「では、
  わたしのことも、
  好きになって、
  くださるのでしょうか」
 「えっ。
  はい。
  もちろん」
 「うふふ。
  赤くなって、
  ほんとに、
  かわいい」
 「ごほっ。
  杉崎さん。
  詩のファイルを、
  USBメモリに、
  コピーしましょうか」
 「いいんですか。
  大切なファイルなのに」
 「詩は、
  読んでもらうのが、
  一番です」
 「では、
  そうさせてください」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ