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やさしく愛して

第1章 やさしく愛して

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 詩の題名のあいうえお順に、きちんと整理してあって、読みやすい。
 編集の仕事をしているので、読むのは慣れている。
 わたしの好きな詩もあるが、ほとんどは初めて読む詩だ。
 そのなかで、山之口獏さんの詩が面白かった。
 詩の話だけでなく、いろいろな話もした。
 「霧子さんとは、
  若いのに、
  子がつく名前は、
  珍しいですね」
 「そんなに、
  若くないですよ。
  もうすぐ、
  30ですもの」
 「いや、
  その、
  私よりは、
  ずっと若い」
 「うふふ。
  衛藤さんて、
  思いがけないところで、
  思いがけない、
  ユーモアを、
  言うんですね」
 「あはは。
  そうかなぁ。
  自分では、
  真面目に言ってる、
  つもりなんですが」
 「うふふ。
  なんだか、
  かわいいです」
 「いや、
  その…」

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