
土壇場の恋・あなたならどうする?
第4章 綱吉と竜二
今まで綱吉がいた部屋はメゾネット型マンションの
中2階にあたる居室だったようで、
綱吉がらせん階段で階下のLDKに降りると、
竜二は既に出かける身支度を済ませていた。
綱吉が ”あれっ”と意外に思ったのは、
てっきり学生だと思っていた彼が学校の制服ではなく
サラリーマンが着るようなスーツ姿だったから。
「……もしかして、これから仕事?」
「もしかしなくても仕事だが」
「あ ―― あぁ、そうか。俺のせいで引き止めて
すまなかった」
「何ちゃあないって。じゃ、俺は仕事に出るけど、
ツナは好きな事してていいからな。夜は何か
外で旨いもんでも食おうぜ」
それは一瞬の出来事だった ――
綱吉の顔へググッと寄ってきた竜二は
綱吉がそうと気づく前に素早く綱吉の唇を奪った。
まるで映画のワンシーンみたいに……。
へ? 何? 今の……
「俺が戻るまでいい子にしてろよ」
「あ、あのぉーっ!」
「なんだ?」
「なんだ ―― って、見ず知らずの俺なんか1人に
しといていいのか? 金目のものかっさらって
逃げるかも」
「そうなったら人を見る目がなかったと諦めて
泣き寝入りするさ」
そう言って颯爽と出て行った。
(ほんとに変なヤツ……でも、
俺、夜までここにいていいのか?)
